LL紙パックリサイクル推進研究会

回収・リサイクル事例 ティーエムエルデ株式会社(滋賀県)

LL紙パックリサイクル推進研究会では、アルミ付紙パックの回収・リサイクル事例を紹介しています。このレポートの詳細版は、会員専用ページでご覧いただくことができます(閲覧にはIDとパスワードが必要です)。

1.ティーエムエルデ株式会社の概要
ティーエムエルデは滋賀県長浜市に本社を置く企業です。「豊かで安心な社会づくり」を目指し、地域の人たちの考え、行動、習慣を大切にし、地域に根ざした方法で一緒に環境改善に取り組んでいます。より具体的には、環境機器販売及びシステムソフト販売、空き飲料容器自動回収機の販売及び回収システム業務、エコ・アクション・ポイント事務局の運営、資源回収ステーション「eco ひろば」の設置・プロモーションなどを事業内容としています。
これらのうち、エコ・アクション・ポイント、ecoひろばに関するものが、今回の事例調査(アルミ付紙パックの回収)と深く関わっています。
なお、社名にある「エルデ」は地球を意味しています。

ecoひろば(リサイクルステーション)

ecoひろば(リサイクルステーション)

 

2.エコ・アクション・ポイントとecoひろば
2.1 エコ・アクション・ポイント
エコ・アクション・ポイントは、環境配慮行動(エコアクション。環境にやさしい商品の購入、サービスの利用など)に特化した全国共通のポイントプログラムです。2008(平成20)年度に環境省によるモデル事業として開始され、3年間のモデル事業を経て、2011(平成23)年度以降は環境省が推進する「民間事業者が運営主体となるポイントプログラム」として実施されています。現在はティーエムエルデが同事業を運営しています。

2.2 ecoひろば
ティーエムエルデでは、近畿、北陸、東海地方を中心にリサイクルステーション「ecoひろば」をスーパーの駐車場など200か所に設置し、消費者の店頭回収参加に対して「ecoひろばポイント」を付与しています。このecoひろばとエコ・アクション・ポイントを紐付けることによって消費者に環境配慮行動を促しています。
ecoひろばに入会して(入会費無料)ポイントを貯めた消費者は、そのポイントを使用して提携店で買い物をすることができます。回収対象品目はペットボトル、アルミ缶、スチール缶、新聞・チラシ、ダンボール・本・雑誌、衣料ですが、場所によって回収していない品目もあります。
ポイント付与の仕組みは次のようになっています。古紙・衣料をリサイクルする場合は重量に応じて、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶については本数に応じてポイントが発行されます。ポイントの使い方は、お買い物券、WAONポイント、nanacoポイントなど、小売店によって利用方法が異なります。
後述するアルミ付紙パック(以下「アルミ付」といいます。)の回収は、ecoひろばでのポイント付与の仕組みを活用したものです。現在は、三重県に本社を置く総合食品スーパーの「ぎゅーとら」に設置されたアルミ付専用回収ボックスで回収されています。

ぎゅーとらのポイントカード

ぎゅーとらのポイントカード

 

3.紙パックの回収・リサイクルについて
3.1 ぎゅーとらでの資源回収
ぎゅーとらは1929(昭和4)年に精肉店「うし虎」として大阪で創業し、2002(平成14)年に「ぎゅーとら」に商号変更した総合食品スーパーです。同社は2000年からマイバッグ持参運動を実施し、2007年9月には伊勢市内9店舗でレジ袋の有料化を開始するなど、比較的早い時期から環境活動への取り組みを行っています。最近では食品リサイクル等にも取り組んでおり、2019年10月には日本環境協会エコマーク事務局が認定する「店舗エコマーク」環境認証を取得しました。ぎゅーとら各店の店頭回収ボックスでは同社独自の取り組みとして牛乳パック(アルミなし紙パック(以下「アルミなし」といいます。))、プラスチック食品容器(青果・精肉・鮮魚・惣菜で使用している食品トレー)を回収しています。
また、ぎゅーとらでは、2014年3月からecoひろばを設置し、ペットボトル、アルミ缶、古紙の資源回収を実施しています。ペットボトルとアルミ缶は容器1本で0.2ポイント、古紙は1kgで1ポイント発行されます。200ポイント貯めると200円分の金券と交換でき(容器1本当たり0.2円)、金券はぎゅーとらの店舗で使用できます。店頭回収で行っているアルミなしとプラスチック食品容器はecoひろばとは別の取り組みですのでポイントは発行されません。

ぎゅーとらでの資源回収

ぎゅーとらでの資源回収

 

3.2 アルミ付のリサイクル
(1) アルミ付の回収を開始した経緯
アルミなしと異なり、アルミ付の回収が行われている市区町村やスーパー等は多くはありません。特に、東海から西の地域ではそれほど進んでいない状況があり、回収拠点を増やすことが求められていました。また、ecoひろばでは古紙、ペットボトル、アルミ缶などを回収していますが、ティーエムエルデではそこでの回収品目を拡大したいと考えていました。こうしたなかで、ぎゅーとらの店頭にアルミ付専用の回収ボックスを新たに設置することで、アルミ付の回収拠点が増えることになりました。ぎゅーとら全店舗にecoひろばが設置されていたことから、このシステムを活用してアルミ付の回収に対してポイントを付与する環境が整っていました。
2020年11月に、まずは2店舗での回収からスタートし、2021年11月までに全28店舗に拡大しました。スタート時は新聞折り込み広告などにより周知を行いました。また、専用回収ボックスに、アルミ付の実物(開いたもの)を貼ることにより、どのようなものを対象として回収をしているのかをわかりやすく伝える工夫も行いました。

アルミ付回収を開始することを伝えるPOP

アルミ付回収を開始することを伝えるPOP

 

(2) アルミなしとは別々に回収
ぎゅーとらではすでにアルミなしの店頭回収を行っていましたが、回収した紙パックの納入先である再生紙メーカーではアルミ付を受け入れていなかったことから、回収する対象はアルミなし(かつ口栓なし)に限られていました。
アルミ付の回収を始めるにあたっては、アルミなしとアルミ付をそれぞれ専用の回収ボックスで回収することとしました。アルミなしについては従来どおりのルートで回収してトイレットペーパーなどにリサイクルされています。アルミ付専用ボックスで回収されたものはアルミなしとは別のルートで、アルミ付もリサイクル可能な再生紙メーカーに納入され、トイレットペーパーなどにリサイクルされています。また、アルミ付に対してのみポイントを付与する仕組みになっています。アルミ付の回収に対して付与されるポイントは、1回につき(枚数や重量などに関係なく)1円相当です。

紙パックの回収ボックス

紙パックの回収ボックス

 

(3) 回収対象の紙パック
紙パックを回収している市区町村やスーパー等のなかには、例えば、500ml未満は回収の対象外としているところもありますが、ぎゅーとらのアルミ付専用回収ボックスでは回収する紙パックのサイズに関しては特に限定はしていません。また、注ぎ口がついたままでもリサイクル可能な再生紙メーカーに納入されているため、注ぎ口を取り除くかどうかについての制約もありません。

3.3 回収・リサイクルの現状と今後の課題
アルミなしとアルミ付の回収ボックスがすぐ隣に並んでいることから、利用者が誤って逆に入れてしまうケースが考えられます。アルミなしをリサイクルしている再生紙メーカーではアルミ付を受け入れていないため、アルミなし回収ボックスにアルミ付が投入されないようにする必要があります。利用者には十分注意してほしいところですが、誤って投入することを防ぐような具体的な対策はできていないのが現状です。

4.回収拡大のために必要なことなど
アルミ付の回収を拡大するためには、まずは、アルミ付をリサイクルできる再生紙メーカーが増える必要があります。また、回収するルートの整備、活用が重要で、例えば、ecoひろばで回収した分と、今後新たに回収を始める市区町村で回収した分を一緒に再生紙メーカーに輸送するなど、アルミ付の回収場所や回収量が増え、物流の効率化が図られる必要もあります。エコ・アクション・ポイントを採用している自治体と話をしながら、エコ・アクション・ポイントを通じて環境配慮行動啓発を進め、市区町村の拠点などでのアルミ付を回収することにより物流の効率化が見込まれれば、さらなる回収拡大につながるものと思われます。

●取材日時:2022年12月20日(火)
●取材先 :ティーエムエルデ株式会社
URL    https://www.tm-erde.co.jp/ 

※ アルミ付紙パックはリサイクルすることが可能で、実際にトイレットペーパーなどに生まれ変わっています。消費者の皆様がご家庭で使用したアルミ付紙パックの一部も回収・リサイクルされています。下記サイトではアルミ付紙容器の回収拠点の検索ができます。アルミ付紙パックの回収・リサイクルにご協力くだされば幸いです。
アルミ付き紙容器の回収拠点検索(外部サイトに移動します)
https://www.bellmark-schoolmilk.jp/alupa/recycle/search.html

 

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