LL紙パックリサイクル推進研究会

回収・リサイクル事例 天草市(熊本県)

LL紙パックリサイクル推進研究会では、アルミ付紙パックの回収・リサイクル事例を紹介しています。当研究会会員の方は、このレポートの詳細を会員専用ページでご覧いただくことができます(閲覧にはIDとパスワードが必要です)。

 

1.  天草市の概要
天草市は熊本県の南西部に位置し、人口は県内第3位、120あまりの島々で構成されており総面積は県内最大の市です。平成18年3月27日に2市8町が合併して天草市が誕生しました。
天草市は東シナ海、有明海、八代海に囲まれ、市域の68%が山林を占めるなど、自然に恵まれた地域です。恵まれた自然を後世に継承していくため、自然環境の保全などに取り組み、人と自然が共生する社会の実現を目指しています。なかでも環境問題については、温室効果ガス排出量削減、ごみの適正処理・資源化を行うことにより環境負荷の軽減に取り組んでいます。
河浦町にある﨑津集落は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つとして世界文化遺産に認定されています。

 

2.  環境に関する取り組み全般
2.1.  温室効果ガス削減
天草市では環境に関する取り組みのひとつとして、温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。具体的には「地球温暖化対策のために家庭でできること」として、各家庭で実践できる節エネの具体例をウェブサイト上に掲載しているほか、各家庭におけるこれらの取り組みを自ら可視化するための「環境家計簿」(Excelファイル)をダウンロードできるようにしています。

2.2.  ごみの適正処理・資源化
天草市では「燃やせるごみ」「燃やせないごみ」「資源物」の大きく3つに区分して収集を行っています。燃やせるごみは週2回、燃やせないごみは月1回、資源物は月2回、いずれもステーション方式で収集しています。資源物の収集は無料ですが、燃やせるごみと燃やせないごみは有料で収集されています。
資源物は「ペットボトル」「発泡スチロール・白色発泡トレー」「プラマーク容器包装」「紙類」など11種類に細かく分類されています。それらのうち「紙類」はさらに「新聞・チラシ」「ダンボール」「牛乳パック」「その他紙パック」「その他の紙」の5つに分類されています。紙類はステーションのみならず、市役所本庁舎および支所(計10か所)において拠点回収も行われています。

「令和5年度 家庭ごみ・資源物出し方カレンダー」より

 

 

 

 

3.  紙パックの回収・リサイクルについて
3.1.  牛乳パックの回収
天草市では、平成19年度以前(合併前)から「牛乳パック」を回収していました。回収の対象は「紙パックマーク」が表示されている「牛乳パック」で、中身飲料は「牛乳」に限られていました(牛乳以外のもの(例えば、お茶やお酒など)は内側にアルミがなくても、「牛乳パック」としては回収の対象外)。紙パックを回収している自治体や小売店の中には、500mL未満などの小さいサイズの紙パックを回収の対象外としているところがありますが、天草市ではこうした小さいサイズのものも回収してリサイクルしています。

ステーションに排出された 紙パック

3.2.  その他紙パックの回収
以前は牛乳パック以外の紙パックを引き取る業者がいませんでしたが、学校給食用紙パック(学乳パック)回収事業を進めるに当たり新たに取引を行うことになった回収業者から提案があったことから、令和4年度から牛乳以外の紙パックについても回収を行うこととしました。回収の対象は、内側にアルミのない紙パックで中身が牛乳以外のもの(お茶やお酒など)のみならず、内側がアルミの飲料用紙パックです(以下、牛乳パック以外の紙パックを「その他紙パック」といいます。)。
その他紙パックはそれまで可燃ごみとして区分されていたため、広報紙や市ホームページ、ごみ出しカレンダーに牛乳以外の紙パックも資源として回収することとなった旨を掲載しました。そのほか、公開済みの資源物分別動画を修正するとともに、市内全地区の環境美化推進員(資源物分別指導員)への説明を行いました。
その他紙パックも資源化できるようになったため嬉しいという住民からの声がありました。牛乳以外の紙パックも資源化されていることは住民に浸透してきており、回収量は増加傾向にあります。現在、回収した飲料用紙パックのうち1/3程度をその他紙パックが占めています。
なお、天草市とともに天草広域連合を構成している上天草市、苓北町でも同様にアルミ付を回収しています。

拠点回収での紙パック回収

3.3.  牛乳パックとその他紙パックを別々に回収してリサイクル
「牛乳パック」も「その他紙パック」も同じ古紙問屋が回収し、同じ再生紙メーカーに納入され、トイレットペーパーの原料として利用されています。しかしながら、それぞれ資源化処理の工程(再生紙メーカーでの処理)が異なることもあり、住民が排出する際には両者をしばらずに分けることにしています。

3.4.  注ぎ口の処理について
アルコール飲料や野菜ジュースなどの紙パックではプラスチック製の注ぎ口が付いたものが増えてきています。プラスチック製の注ぎ口は再生紙メーカーで不適物として処理されることになるため、「家庭ごみ・資源物出し方カレンダー」では「プラスチックの注ぎ口などを取り除き」と記載しています。

「令和5年度 家庭ごみ・資源物出し方カレンダー」より
(下線は執筆者による)

 

 

 

 

 

3.5.  リサイクルによってできたトイレットペーパー
回収・リサイクルによってできたトイレットペーパーは、一般の小売店で販売されたり、市が購入して庁舎内で使用されたりしています。
また、その他紙パックの話ではありませんが、天草市内の小学校では学乳パックを回収し、トイレットペーパーにリサイクルする取り組みが行われています。このトイレットペーパーは「あまくさトレパー」* )と名付けられ、包装紙は市内の中学生がデザインしました。市役所や学校で使用されているほか、地元企業が購入するなどして活用されています。

* 市政だより「あまくさ」2022年10月号
https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji0039808/3_9808_42134_up_3p5e0mvb.pdf

 

4.  アルミ付の回収・リサイクルに関する課題や今後の懸念事項など
「その他紙パック」の回収を開始した令和4年度のその他紙パックの回収量は牛乳パックの3分の1程度であり、早くも住民に認知され、定着しつつあります。貴重な資源である紙パック(牛乳パックおよびその他紙パック)が可燃ごみとして排出されずに資源物として回収されるよう、今後も引き続き住民に周知を図る予定です。

 

●取材日時:2023年12月
●取材先 :天草市役所 市民生活部 市民環境課 廃棄物対策係
URL https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/default.html

 

※ アルミ付紙パックはリサイクルすることが可能で、実際にトイレットペーパーなどに生まれ変わっています。消費者の皆様がご家庭で使用したアルミ付紙パックの一部も回収・リサイクルされています。下記サイトではアルミ付紙容器の回収拠点の検索ができます。アルミ付紙パックの回収・リサイクルにご協力くだされば幸いです。
アルミ付き紙容器の回収拠点検索(外部サイトに移動します)
https://www.bellmark-schoolmilk.jp/alupa/recycle/search.html

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