LL紙パックリサイクル推進研究会

回収・リサイクル事例 八王子市(東京都)

LL紙パックリサイクル推進研究会では、アルミ付き紙パックの回収・リサイクル事例を紹介しております。このレポートの詳細版は、会員専用ページでご覧いただくことができます(閲覧にはIDとパスワードが必要となります)。

 

1. 八王子市の概要
八王子市は東京都心から西へ約40km、新宿から電車で約40分の距離にあります。国道16号や20号、中央自動車道や圏央道といった道路によるアクセスも便利です。市南西部にある高尾山は登山コースや薬王院のほかレストランや夏季限定のビアガーデンなどが有名で、年間を通じて多くの登山者や観光客が訪れます。八王子や南大沢などの主要駅周辺には大型商業施設が立ち並ぶほか、北八王子・東浅川・美山などの工業団地があります。首都大学東京、中央大学、工学院大学、帝京大学など多くの大学のキャンパスがあります。このように、八王子市は交通機関や自然環境、歴史と文化、企業や大学といった地域資源に恵まれた地域です。

2. 環境に関する取り組み全般
2017年度現在、八王子市の1人1日当たりのごみ排出量は776.9gで、人口50万人以上の都市の中では最も排出量の少ない自治体です。これは2年ぶり4回目のことで、2016年度実績でも全国2位であったことから、八王子市民の中にごみ削減の意識が定着していることがうかがえます。
こうしたことの背景として、ごみの減量と資源化が多摩地域全体の喫緊の課題となっていることが挙げられます。八王子市で2004年10月からごみの指定収集袋制度(有料化)とごみの戸別収集及び資源物回収の拡充を同時に開始しました。有料化によってごみの削減と資源化への意識を高めるとともに、戸別収集によって排出者責任を明確にしました。

3. 紙パックの回収・リサイクルについて
3.1. 背景と経緯
八王子市では1986年から資源の集団回収に対する補助を行っており、このなかで紙パックの回収が行われていました。八王子市の資源回収として紙パックの回収を始めたのは1992年9月で、このときは拠点回収でした。2004年のごみの有料化に際して資源物回収を拡充し、回収拠点だけでなく集積所でも紙パックを回収することにしました。2010年10月に戸別回収を開始したこともあり、紙パックの排出先として回収拠点を利用する市民が減少したことから、2012年3月に紙パックの拠点回収を終了しました。
アルミ付紙パック(以下、「アルミ付」)の回収を始めたのは2004年10月です。ごみを有料化するにあたり、少しでもごみ排出量を減らすことができないかとのことから古紙問屋に問い合わせたところ、アルミ付も回収できることが分かったため、アルミなし紙パックと一緒に回収することにしました。
アルミ付も回収していることは、ウェブサイトに記載しているほか、冊子『ごみ・資源物 分別の手引き~さらなるごみ減量に向けて~』などにも掲載しています。アルミ付の回収を始めたのは2004年のごみ有料化のときですが、この有料化に当たってはおよそ1年の時間をかけて、約1,700回にも及ぶ説明会を実施して、市民に理解を求めました。

集積所に排出された紙パック

集積所に排出された紙パック

3.2. 回収・リサイクルの流れ
戸建て住宅の場合は戸別回収(自宅前の道路に面した敷地内に排出)で、集合住宅の場合は集積所(各集合住宅で指定している集積所)で紙パックを回収しています。「八王子市のごみ・資源物の分別と出し方」では、「内側が白色以外のものも含む」と表現することで、アルミ付も回収することを伝えています。アルミ付とアルミなしを分けずに一緒に回収されます。500ml未満の小さい紙パックも回収の対象です。回収された紙パックの中からアルミ付紙のみを取りだし、アルミなしはトイレットペーパーに、アルミ付は雑紙(ざつがみ)としてダンボールの中芯にリサイクルしています。

3.3. 回収・リサイクルの現状と今後の課題
アルミ付も資源として回収していることは概ね市民に理解されていますが、紙パックを雑紙と一緒に紙袋に入れて排出されているケースもあります。紙パックは紙パックだけをひもで縛って排出することをお願いしていますが、大きなくくりではどちらも「紙類」で排出日も同じであることから、リサイクル先が同じであると誤解されているのかもしれません。大きなサイズの紙パックについては「洗って開いて乾かして」のマナーも守られていますが、500ml未満の小さい紙パックは、洗ったり開いたりせずに、そのままつぶして排出されるケースも見受けられます。
今後の課題としては、紙パックが資源物であることについて、いま一度周知を図り、その上で、紙パックは紙パックだけでリサイクルされていることを強調し、紙パック以外の紙類と分けて排出してもらう必要があることが挙げられます。小さいサイズの紙パックについては、容器の底の部分を押すと比較的開けやすいとか、道具を使用することによって簡単に開けられるなど、各家庭でリサイクルを行うに当たっての必要な情報を提供することも必要です。

3.4. アルミ付紙パックのリサイクルを拡大していくために必要なこと、要望など
アルミ付に限らず、紙パックのリサイクルをさらに推進していくこと、アルミ付もリサイクルの対象であることを啓発していくことが必要です。子ども会や老人会などの集団回収団体数は減少傾向にありますが、その一方で住宅管理組合による集団回収は増加傾向にあり、スーパーマーケット等での店頭回収とともに有効な手立てのひとつです。ごみを減らし、資源を有効活用するため、アルミ付を含めた紙パックの回収を今後も継続していく必要があります。

 

● 取材日時:2019年6月28日(金)
● 取材先:八王子市 資源循環部 ごみ総合相談センター

八王子市のウェブサイト https://www.city.hachioji.tokyo.jp/

 

※ アルミ付き紙パックはリサイクルすることが可能で、実際にトイレットペーパーなどに生まれ変わっています。消費者の皆様がご家庭で使用したアルミ付き紙パックの一部も回収・リサイクルされています。アルミ付き紙パックをどこで回収しているのかをお知りになりたい方は、下記サイトをご参照ください。
アルミ付き紙容器の回収拠点検索(外部サイトに移動します)
https://www.bellmark-schoolmilk.jp/alupa/recycle/search.html

 

  • 記事一覧へ

カテゴリー CATEGORY

最近の記事 RECENT ENTRY

アーカイブ ARCHIVE

月を選択

LL紙パックリサイクル推進研究会のWEBサイトに関するお問い合わせはこちらへ

ページの先頭へ