LL紙パックリサイクル推進研究会

平成29年度 施設見学会

1.施設見学会について

当研究会では、毎年、LL紙パック(アルミ付き紙パック)をはじめとしたリサイクル関連施設への見学会を実施しています。平成29年度は10月24日(火)に実施し、会員企業をはじめとする23名が参加し、日徳、日誠産業、四国化工機(阿南食品工場)を見学しました。

 

2.見学先

2.1 株式会社 日徳(徳島県阿南市)

日徳はRPF(固形燃料)を製造しているほか、古紙をリサイクルするための再資源化の一部を担っています。
RPFの原料は、マテリアルリサイクルが困難な廃プラスチック、製紙原料として再生が困難な紙くず、木くずのほか、有機性汚泥や動植物性残渣などです。製造されたRPFは石炭と同等の熱量のものを低コストで得ることができることから、製紙工場におけるボイラーの熱源などとして有効利用されています。
なお、回収されたアルミ付きを含む紙パック類は、日徳の一部の場所を借りて日誠産業が選別・破砕の加工作業を行った後、同市内にある日誠産業で古紙パルプにリサイクルされます。

 

回収された紙パック類(日徳)

回収された紙パック類(日徳)

工場内を見学(日徳)

工場内を見学(日徳)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

集合写真(日徳)

集合写真(日徳)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.2 株式会社 日誠産業(徳島県阿南市)

日誠産業はラミネート古紙再生パルプ製造販売及び製紙原料選別加工販売を行っています。
紙パックのリサイクル運動が広がり始めた当初から、紙パックの回収・リサイクルに取り組んでいます。アルミ付きを含む紙パックのほか、イベントやスポーツの試合などで発生した使用済み紙カップ、広島の平和記念公園などに捧げられた後の折り鶴なども同社で古紙パルプにリサイクルしています。
同社工場では、破砕機で処理した後の原料をパルパーと呼ばれる機械で水に溶かし、パルプとそれ以外のもの(ポリエチレン、アルミなど)に分離します。その後、フィルターや比重分離によってポリエチレン等の細かい破片や不純物を除去し、水分を取り除いて古紙パルプとして製紙メーカーに出荷します。紙パックから分離されたポリエチレンは、同社工場の焼却炉で燃やし、その熱をパルパーで利用する温水の加温に使用するほか、関連企業の日徳でRPF製造に活用されています。また、アルミは花火の原料等として利用されており、回収された紙パックのすべてが無駄なくリサイクルされていました。
日誠産業から製紙メーカーに納入された古紙パルプからさまざまな紙製品が作られています。トイレットペーパーやティシュペーパー、ハンドタオル、キッチンペーパー、紙ナプキン、画用紙、ノート、封筒、紙ファイルなどのほか、卵パックをはじめとしたモールド製品、建材など多岐にわたります。最近では、飲料メーカーから排出された工場損紙でリサイクルした折り紙が同飲料メーカーのノベルティ・グッズになったり、レーヨン繊維にすることでユニフォームやシャツなどの衣類に加工したりされている例もあります。

 

工場内を見学(日誠産業)

工場内を見学(日誠産業)

製造されたパルプ(日誠産業)

製造されたパルプ(日誠産業)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

集合写真(日誠産業)

集合写真(日誠産業)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2.3 四国化工機株式会社(徳島県阿南市)

四国化工機は、紙容器に飲料などを充填する装置の設計・製造・販売、食品用包装資材の企画・製造・販売、豆腐等の大豆加工食品の製造・販売及び飲料の受託生産を行っています。なかでも屋根型紙容器成形充填機では国内シェア約70%を占めています。
今回は、阿南食品工場を見学しました。同工場では、豆腐「さとの雪」をプラスチック容器に充填しています。豆腐の製造過程でおからがたくさんできますが、おからは栄養が豊富なため腐敗しやすく、また、水分を多く含んでいるため運搬も容易ではありません。そのため、おからの多くは廃棄物とせざるをえず、その有効活用が課題となっていました。同社は産官学連携による(地域資源循環型ビジネス研究会)、「とくしまSOYくふう」プロジェクトとしておからの飼料化を研究し実用化しています。
新たに開発された飼料の特長として、おからに納豆菌を植え付けたことが挙げられます。通常は飼料を製造する際に抗生物質が使用されますが、おからに納豆菌を利用することで、抗生物質を含まない有機堆肥を作ることができ、食の安全・安心につながっています。作られた堆肥はさまざまな農業で活用することができますが、この肥料で育てた大豆による豆腐を作ることで、リサイクルの循環の輪となります。また、同社では、おからを乾燥させた「おからパウダー」も製造しており、常温で保存できるおからとして好評をいただいているとのことです。
また、今回の見学のなかにはありませんでしたが、同社御殿場食品工場ではアルミ付き紙パックに充填した豆腐が作られているとのことでした。アルミ付き紙パックは空気や光を通さないため、できたてのおいしさをそのまま180日間保つことができ食品ロスの削減につながる豆腐となっています。紙パック入り豆腐は、機械、包装資材、食品と多角的に事業を行っている同社だからこそできた商品と言えるでしょう。

製造された豆腐製品(四国化工機)

製造された豆腐製品(四国化工機)

集合写真(四国化工機)

集合写真(四国化工機)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.施設見学会を終えて

日誠産業では紙パックをはじめとした紙類を古紙パルプにリサイクルしています。同社ではアルミ付き、アルミなしの紙パックにとどまらず、これまでリサイクル困難とされてきた難再生古紙のリサイクルにチャレンジしています。こうしたさまざまなチャレンジによって少しずつではあるものの、リサイクルできる紙が増えてくることを感じました。また、再生パルプを最終製品の原料としてさまざまな紙製品メーカーに出荷しており、その用途はトイレットペーパーに限られません。カミーノ(東京港区)という関連会社では再生紙を利用した商品開発を行っています。レーヨン繊維として衣類にも生まれ変わる事例は、従来のリサイクル品にとらわれない発想力と、それを実現する技術力の高さを表す象徴的なものだと言えるでしょう。また、パルプを再生するところにとどまらず、再生した商品の価値を上げるための取り組みを行っている点も特徴です。例えば広島原爆ドームに納められた折り鶴のリサイクルにおいては、単に紙というモノのリサイクルではなく、折り鶴に込めた想いを伝えられる商品としてリサイクルしています。こうした「想い」が込められたリサイクルによって、見た目は同じでもほかのものでは得られない高い価値を持つものになると感じました。

四国化工機では豆腐の充填工程を見学しましたが、施設見学会で食品工場を訪れる機会はこれまでありませんでしたので新鮮に感じました。作りたての豆腐のおいしさを長期間保つための容器としてアルミ付き紙パックが使用されているお話を伺い、アルミ付きの容器としての機能面での優れた点を改めて確認しました。中身を消費する前までは、品質を守り長期保存を可能にすることによって食品廃棄物の削減に貢献し、消費後は適切に分別・回収されトイレットペーパーなどさまざまな紙製品にリサイクルされることで省資源につながっています。こうしたアルミ付き紙パックの特長を、より多くの人に知っていただきたいと感じました。

 

 

LL紙パックがリサイクル可能であることをより多くの方々に知っていただくとともに、リサイクルへの取り組みが今後ますます活発になっていくことを願って、当研究会では引き続き情報発信に努めて参ります。

 

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