平成27年度 施設見学会
1.施設見学会について
当研究会では、毎年、LL紙パック(アルミ付き紙パック)のリサイクルに携わる企業等への見学会を実施しています。平成27年度は9月9日(水)に実施し、会員各社をはじめとする26名が参加しました。
午前は石川県金沢市にある戸室リサイクルプラザを、午後は富山県高岡市にあるアルハイテック株式会社を訪れました。
2.見学した施設
2.1 戸室リサイクルプラザ(処理棟及びプラザ棟)
戸室リサイクルプラザ処理棟は、埋立ごみ及び容器包装プラスチックの中間処理を行っています。併設のプラザ棟は、アルハイテック株式会社の前身とも言える一般社団法人北陸グリーンエネルギー研究会のアルミ付き紙パック回収拠点の一つです。
それぞれの中間処理の概要は、以下のとおりです。埋立ごみはクレーンを用いてコンベア上に運び、不適物を選別、高速破砕機で粉々にし、敷地内の埋立場に埋め立てます。
容器包装プラスチックは、大きな扇風機状の機械で軽いものと重いものとに選別され、軽いものは最終工程へ、重いものは混入している不適物を次の工程で人の手で取り除き、最終工程へ進みます。最終工程ではプラスチックの圧縮梱包器でサイコロ状に押し固められ(この状態のものをベールといいます)、輸送用パレットなどの原料に使用されます。
プラザ棟では容器包装プラの廃棄物処理について学習することができ、多くの小中学生が見学に訪れています。そのほか、粗大ごみとして収集された家具を修理し展示販売する取り組みなども行われています。
プラザ棟にはアルミ付き紙パックの回収ボックスが設置されており、年間約60kgのアルミ付き紙パックが回収されており、私たちが訪れた時にも、ボックスに半分以上のアルミ付き紙パックが回収されていました。金沢市内にはほかに、東部リサイクルプラザ、金沢市校下婦人会、大徳公民館、民間工作機械メーカーなど6か所に回収ボックスが設置されており、年間約700kgのアルミ付き紙パックが回収されています。
2.2 アルハイテック株式会社
アルハイテック株式会社は、アルミ付き紙パックをはじめとする使用済みアルミ付き包材等から有用な資源・エネルギーを回収するシステムを基盤として、地域の活性化、永続的な地球環境の保全等に貢献し、循環型社会構築の一翼を担うべく企業活動を行っています。平成26年度の情報共有化勉強会で同社の水木氏にお話を伺って以来、当研究会の中でも関心の高い施設の一つでした。
同社のシステムにアルミ付き紙パックを投入すると、まずは「紙」と「アルミ付きプラ」に分離されます。紙はパルプとして再生紙の原料となります。アルミ付きプラは次の工程で「プラ」と「アルミ」に分離されます。プラは可燃ガスとして乾留炉自身のエネルギーとして利用できるほか、オイルとして回収して利用することも可能です。アルミは特殊アルカリ溶液による化学反応で水素を発生させ、燃料電池を用いることで電気エネルギーとして利用します。
今回、見学した機器は展示モデルで、2015年4月より一般公開されており、既に多くの見学や取材の申し込みがあるそうです。これまで富山、石川、福井の各県におけるライトアップのほか、東京では電動アシスト自転車を充電するデモンストレーションなどを行ってきましたが、今後は工場から実際に出る端材などを利用した実証実験を同社への出資企業の施設内で行うとのことで、本格稼働に向けて研究は着実に進行しています。
3.施設見学会を終えて
当研究会で容器プラのリサイクル中間施設を見学したのは初めてでしたが、このようにアルミ付き紙パック以外の資源物処理工場を見ることで、今後の取り組みについてのヒントになることが得られるように思います。また、リサイクルプラザをはじめとして多くの場所でアルミ付き紙パックの回収が行われていることを知るとともに、リサイクルに出す習慣が根付きつつあるその一端を見ることができました。プラザ棟のような施設で展示などの情報発信やリサイクルの取り組みを行うことは、リサイクル活動の拡大に欠かせない大切なものであると感じました。
アルミ付き紙パックのリサイクルといえばトイレットペーパーなどの衛生紙が代表的な事例で、これまでもそうした再生紙工場を中心に見学会を開催してきました。今回は紙だけでなくアルミも再利用している設備を見学しましたが、昨年度の情報共有化勉強会でお話を伺ったことを実際に目にすることで、内容をより具体的に理解することができました。アルミ付き紙パックの「紙」の部分だけでなく、「アルミ」をエネルギーとして活用している点は先進的で独自の技術力であると感じましたし、電球が点灯するのを目にすることで、そうしたことを実感することができました。
アルミ付き紙パックの回収・リサイクル事例が増えてきているものの、リサイクル率は必ずしも高くないのが現状です。アルハイテックのシステムは、「アルミ付き紙パックを紙とアルミ付きプラを分離する装置」、「アルミ付きプラをアルミと可燃ガスやオイルに分離する装置」、「アルミを化学反応させて燃料電池として利用する装置」がそれぞれ独立しており、別々の場所に設置して、あるいは単独で活用することもできます。また、それぞれの装置の大きさも仕様に応じて対応できるので、必ずしも広いスペースを必要としません。こうした特長を生かすことで再生紙工場から遠く離れた場所でもアルミ付き紙パックのリサイクルができるようになり、また紙以外の部分の活用方法の選択肢が増えることによってリサイクルが盛んになり、近い将来、リサイクルすることが当たり前になるかも知れません。
LL紙パックがリサイクル可能であることをより多くの方々に知っていただくとともに、リサイクルへの取り組みが今後ますます活発になっていくことを願って、当研究会では引き続き情報発信に努めて参ります。